いま巷で騒がれているMAツールなどや、SNSを通したCRMなどを上手に活用するためには、顧客管理データをきちんと管理する必要があります。
その際に2つのことを考慮しておくことが重要です。
①1つ目は、過去データの移行をどうするか
②2つ目は、複数のお客様が1人のお客様だった時に行う顧客の統合です。
どんな企業でも顧客管理を行っていない企業はありません。紙やExcelなどで最初は管理を始め、専用のツールにシフトしていくことが多いです。
ただそんなときに良く聞くのが顧客データの移行は手間がかかるから行わないという事実です。
専用ツールが要求するレイアウトにするのが大変だからという理由で、大事な顧客データを諦めてしまっていませんか?
私のお客さんでも実際、ベンダー側の意見で費用が掛かるからというだけで過去データの移行を行なわずに後悔していることが多々あります。

Excelならまだしも紙のカルテなどは移行出来ないのでは?
いえいえ、それだからこそ大事な顧客情報を大切に移行する必要があるのです。
データを分析する際に必要なのはあくまでもデータ量が物を言います。
CRMの分析をするためには3年(3回)かかると言われています。それは専用ツールが導入されてデータが溜まるまでに時間が必要だからです。データを移行しなければすぐに分析が出来ず、導入効果が先に送りになってしまいがちで、だからこそ過去データがある場合には、データの移行作業をすることを強くお勧めします。
ちなみに移行の方法として、紙のカルテからでも、結構、有効だったのが、派遣社員さんを雇って、ACESSなどで作った簡易顧客システムに必要な情報を入力してデータ化する方法です。
その時は、必要情報として、姓名、住所、電話番号、メールアドレス、最終購入日などになどに絞り、アクセス上で登録する画面を設定(アクセスのテンプレートなどを活用できます。)する画面を簡易的に作成し、そこに入力をしてもらいます。
1時間当たりの登録件数が慣れてくると100人ほど。このケースですと1日に約800人が登録できます。1000人を1日出来ると仮定すると、10万人は100日、10人で登録すると10日間、派遣さんの時給が1200円だとして、1日8時間ですと9,600円
1日1万円×10日×10人=100万円
100万円で移行作業が可能だとすると、あきらめてしまうのは勿体ないですよね。

ちなみに移行作業を行う際に注意しておく必要があるポイントは
①電話番号はハイフンを無くしておく
03-1234ー5678ではなく、0312345678
②住所の登録方法を統一しておく
・ハイフンの種類ー-‐― などを一つに統一
・番地を英数字に
・郵便番号を数字のみに
・住所を4つに分割(都道府県、市区町村、番地、建物名)
③名前は、姓名の間にスペースを入れる
・フリガナがあればきちんと移行(キラキラネームなどがあると読めない)
・旧漢字がある場合には、カナで登録
※DMなどで名前を印字する際、漢字の場合には、間違いを指摘されますがカナで印字すると間違っているわけではないので、問い合わせがされないなどがあり意外とフリガナの移行は重要となります。

次によくある問題は、顧客データが複数のシステムで管理しているケースです。
店舗がある顧客の場合には、会員カードとしてのポイントカードが主流でした。
これはカード自体に事前に顧客番号を印字しておく形の管理方法です。
メールアドレスなどが無くても、お客様との接点はこの会員カードで番号が分かるため顧客情報が正しくなくても運用上は問題なく、お客様側も提示するだけのため受け入れやすく、比較的多くの企業が導入していました。
ECサイトは、企業のビジネスに欠かせなくなり、クレジットなどの決済と連動するために本人確認が必須となり、顧客を特定するためにメールアドレスが必要となりました。
ここで顧客データの問題が発生します。
一つは店舗で管理する会員カード型の顧客管理、一つは本人特定が必須のEC型の顧客管理。2つの顧客管理を行うサービスを企業が利用する形が発生してしまい同一人物なのに別々のサービスの提供を行うちぐはぐな顧客管理に陥ってしまったのです。

2010年代後半、メールでのやり取りが主流だった時代から、スマホ機能が発達するとともに、さまざまなアプリやサービスが発達し、携帯端末が本人のセキュリティ認証を保証する媒体となり、2020年代の現在ではメールアドレスと携帯のアカウント、電話番号が密接に連動するサービスが主流となっています。
顧客管理の方法もそれに合わせ、個人を特定している顧客管理側が主体となり、より顧客データ上のユーザーをユニークとなるために、同一人物のデータを統合する動きが活発となっていきました。そのため、ここでもメールアドレスが無いユーザーの情報は移行できない前提となり、大事な顧客情報をシステム上の都合であきらめてしまうことが発生しています。
ここでも顧客情報をあきらめないことをお勧めします。
やり方はいろいろとありますが、顧客情報を残すために、全てのユーザーにDMはがきを送り再登録を促したり、メールアドレスを仮発行しておいて、再来店時に改めて復活させることを考えるなど方法があります。
お客様と接点がある店舗スタッフや、ECのコールセンターの人々の努力で積み上げた顧客データを、システム上の都合であきらめては、本当の意味で企業の顧客管理に繋がらないと思います。

顧客管理システムを作るコツは、顧客データがいかに重要かを理解し、過去データをきちんと生かせるものにすることが重要です。
ただし、直近では、ユーザーサービスの情報と連携することで、自動的に顧客情報が取得できるようになりつつあります。
これからの顧客管理は、その情報のどう取得するか、どう貯めていくかから、誰をターゲットとし、どうサービスするのかという新しい時代に突入しています。さらにCARTBOTなどのAIツールも発達し、誰でも同じ情報を共有する時代となっています。
だからこそ過去のデータ、電子データになっていない情報などが企業の差別化につながるはずです。
是非、顧客管理のコツ、過去データの移行を果たし、最新の顧客管理システムを構築してみてはいかがでしょうか?